作家が作品に込めた思いを感じるには、美術館で見ることが一番。

スペシャルインタビュー: 檀れいさん(女優)

 

Text: Seiichiro Furusawa, Photos: Tatsuro Kakishima (Pointer), Stylist: TEAM▲NISHI (C.CORPORATION), Hair & Make up: Keizou Kuroda (Three Peace)
撮影協力:東京都美術館
※掲載した情報は2017年11月現在のものです。

 


 

2005年に宝塚歌劇団を退団後、テレビ、映画、CMと女優としてのキャリアを重ねている檀れいさんは、仕事やプライベートでも美術館を訪れることが多いという美術好き。最近は絵画だけでなく仏像や工芸品にも興味があるという檀さんに、東京都美術館内をめぐりながら、好きなアート、今後の活動などについてうかがいました。

「実物」を見ることへのこだわり

普段から美術館を訪れるのは好きなのですが、今回のように様々なスペースをじっくり見て回るのは新鮮な体験でした。東京都美術館は置いてある椅子がカラフルだったり、階段やテーブルがおむすびの形をしていたりと、細部まで楽しめるようになっているのがとても面白いです。これまでは展示を拝見するだけだったので、食事をしたり、館内をゆっくり歩いたり、新しい楽しみ方もしてみたいですね。

東京都美術館といえば、2007年に「フィラデルフィア美術館展 印象派と20世紀の美術」のイメージキャラクターと音声ガイドをさせていただいたことがあり、それが初めての美術展に関わるお仕事だったんです。その時、アンリ・マティスの《青いドレスの女》にちなんだ青いドレスを一から作っていただき、それを着ることができたことも含めて、とても印象に残っています。限られた時間の中でしたが、1対1で作品と向き合えたのは、すごく贅沢な体験でしたね。美術作品は図録を通しても見ることができますが、その絵の迫力や作家が作品に込めた思いを肌で感じるには、やはり美術館で作品を見るのが一番なんだなと強く感じたことを覚えています。
これまでに行った美術館の中で最も印象深いのは、パリのオランジュリー美術館です。モネの《睡蓮》の連作が壁一面にパノラマ展示されている特別展示室があるのですが、絵の前に立ってみると、まるで私自身がモネの描いた空間の中にいるかのような不思議な感覚を味わったんです。また行きたい美術館のひとつですね。

いま興味がある画家は、伊藤若冲です。彼が生きた200年以上前の江戸時代に、白は白、黒は黒、赤は赤と、あそこまで発色がよい美しい絵をなぜ描くことができたのか。どのような顔料や絵の具を使っていたのか、すごく興味があります。鶏を題材にした作品でも、羽の一枚一枚が際立つような描き方をしているんですよね。特に美しいのが、白い羽が重なる部分。重なるごとに白が濃くなっていくような描き方に、強く惹かれました。東京都美術館では2016年に「生誕300年記念 若冲展」があったんですよね。その時は都合がつかなかったので、ぜひ実物を見たいですね。

 

 


中央棟の階段

 

上写真の階段を下から見上げてみると、三角形のおむすび型が出現。しかもちょうど真ん中にライトがあって、まるで梅干しのよう!これは、東京都美術館を設計した前川國男が、おむすびが好きだったことから2012年のリニューアルを機に取り入れられました。館内には他にもおむすび型が散りばめれているので、探してみるのも楽しそうです。

 


「ものづくり」に惹かれる理由とは

仏像や工芸品にも興味がありますね。先日もNHKの番組「仏像ミステリー 運慶とは何者か?」を通じて、仏像の奥深さに触れたばかりです。職人さんの仕事は、伝統を受け継ぎながらも、今の時代に合わせた要素を取り入れることもあり、その中でもそれぞれ譲れない思いが込められているように感じます。何もないところから作品を生み出していく、職人さんの仕事にはいつも強く惹かれます。私自身もエンターテインメントという作品づくりに携わっているからかもしれません。とは言っても、気負いながら見ているわけではないですよ。結果的に何かのインスピレーションが生まれたりヒントをもらったりすることはあると思いますが、「この作家さん面白いな」「この仏像、見てみたいな」というような純粋な興味がまず先にきますね。

街を散歩するのも好きで、フラッとお店やギャラリーに入ってみることもあるんですよ。特に食器は、一目惚れで買ってしまうことが多く、購入したものを並べてみると、自分の趣味趣向がわかってくるのも面白いですね。これまで知らなかった作家さんと出会えるのも醍醐味ですよ。

女性の繊細な内面を演じることが楽しみ

舞台鑑賞も、好きなもののひとつですね。舞踊や歌舞伎、ミュージカル、そして私自身も在籍していた宝塚歌劇と、ジャンルにこだわらず楽しんでいます。ただ、私は仕事のことを考えながらは見ないですね。だって疲れちゃいますから(笑)。純粋にエンターテインメントを楽しみたいので、あくまで一人の観客として、素直に作品を鑑賞するようにしています。

2018年5月には、明治座の舞台「仮縫」に出演します。有吉佐和子さんの「仮縫」が原作で、高級洋装店で、縫い子からのし上がっていこうとする主人公を演じるのですが、華やかなファッションの世界のお話ですので、衣裳や小道具など目で見て楽しむ要素の多い華やかな舞台になると思いますよ。また、作品の中では女性同士の争いも描かれています。有吉佐和子さんの作品は女性の繊細な内面が事細かに描写されているので、女優として演じるのがとても楽しみですね。ご一緒させていただくのが高橋惠子さん、山本陽子さん、葛山信吾さん、古谷一行さんといった、私が尊敬する先輩方です。みなさんと一緒にいい舞台を作っていけたらなと思っています。

衣装協力:花柄ブラウス(TAE ASHIDA 03-3463-8631)、ベージュパンツ、黒パンプス(以上2点スタイリスト私物)、イヤリング、リング(すべてSAINT NICOLAS 055-269-5426)

檀 れい(だん れい)

  • 1992年に宝塚歌劇団に入団、1999年より月組トップ娘役を、2003年から星組トップ娘役をそれぞれ務める。2005年の退団後、2006年に山田洋次監督作品「武士の一分」でスクリーンデビュー。同作で第30回日本アカデミー賞新人俳優賞 / 優秀主演女優賞、第49回ブルーリボン賞新人賞、第44回ゴールデンアロー賞新人賞などを受賞。その後も映画、テレビドラマ、CMなど幅広く活躍。 明治座にて2018年5月6日より上演される舞台「仮縫」での主演が決まっている。
    檀 れい プロフィール|松竹エンタテインメント

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