森栄喜〈Family Regained〉より 2017年 作家蔵

篠原ともえ × 伊藤貴弘(東京都写真美術館 学芸員)
 

新進作家たちの個人的な視点から見えてくる「小さいながらもたしかなこと」

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    • 伊藤  12/1から始まる「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家vol.15」の担当学芸員の伊藤です。当館では毎年この時期に日本の若手作家を紹介しています。
    • 篠原  皆さん私と年齢が近い! 「小さいながらもたしかなこと」とは?
    • 伊藤  個人的な視点ですが、社会とのつながりを意識している作家5名を選びました。森栄喜さんは第39回木村伊兵衛写真賞を受賞されているんですよ。
    • 篠原  作品が赤いのはなぜですか?
    • 伊藤  モノクロフィルムで撮って、暗室作業で赤くプリントしているんです。ゲイである森さんが、親しい人と一緒に家族写真みたいな写真を撮るというシリーズで、赤には家族の血の繋がりのイメージだったり、森さんが一緒に写っていることで覚える違和感にさらに赤を被せることで「家族って何だろう」ってみんなで考えるきっかけになってほしいというメッセージが込められているんです。
    • 篠原  森さんにしかできない表現ですし、現代だからこそ表現出来る作品ですね。海外だとLGBTがポピュラーになっていますが、日本はまだまだ。
    • 伊藤  世間の人たちの関心が向いている時だし、とても意義あることだと思います。続いて細倉真弓さん。多摩川の中1男子殺害事件をきっかけに、川崎で今何が起こっているかを取材した作品で『写真集 川崎』として話題になっています。

 

細倉真弓〈川崎〉より 2016年 作家蔵

  • 篠原  こういうフィルムの温度が沸き立ってくる熱い感じがすごく好きです。HIROMIXさんぽいというか。
  • 伊藤  細倉さんはHIROMIXさんにかなり影響を受けてます! 川崎の南部は貧困や経済格差の問題がある一方でラップなどユース・カルチャーが盛り上がっていたり…。細倉さんの写真ってドキュメンタリーだけど独特な視点がある。青が特徴なんですが、川崎のシリーズとよく合っています。
  • 篠原  皆さんの揺るがない覚悟が見える展覧会になりそうですね。
  • 伊藤  その覚悟に共感したいし、いろんな人に見てもらいたいって思いがあります。他にもミヤギフトシさん、石野郁和さん、河合智子さんといった今旬の作家さんが出品します。それぞれが自分のアイデンティティやリアリティと向き合って見出した「たしかなこと」をぜひご覧ください。
  • 篠原  同世代ってのがすごく響きました。刺激を受けそうです!
小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家vol.15

2018年12月1日(土)〜2019年1月27日(日)

 

将来性のある作家を発掘するシリーズの第15回目は
自らの感性や考え方、アイデンティティやリアリティを手がかりに、
社会との関わりを意識しながら作品を制作する5名の作家を取り上げます。

 

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