歴史的資料や芸術作品などの文化財を収蔵し、展覧会やイベントを開催する美術館や博物館には、多くの人が働いています。ここでは、東京の芸術文化を支える都立美術館・博物館のさまざまなお仕事に注目してみましょう。
(取材協力:ch FILES編集部)
本物に触れて感動した体験は、きっと誰にでもあるはず!アートや工芸品、歴史的資料や建造物には、独自の美しさや時を経た価値があり、それらを伝えることができる最大のチャンスが、企画展示や常設展示、建物公開なのです。担当するのは専門の知識を持つ学芸員(キュレーター)たち。企画の立案や展示品の手配、会場設営、執筆、展覧会カタログ制作など、数年がかりですべての作業を取り仕切ります。
レポ「休館日の常設展展示室 ~月に一度の「江戸ゾーン」展示替え作業をご紹介~」
(江戸東京博物館)
【動画】「天璋院 篤姫 ゆかりの品」展示準備の様子
(江戸東京博物館公式YouTubeチャンネル)
[参考]学芸員のお仕事を紹介した書籍『探検!体験!江戸東京博物館』
(江戸東京博物館図書室で閲覧できます)
展覧会の舞台裏「上野アーティストプロジェクト2019」
(東京都美術館ニュース)
展覧会運営準備から実績記録まで学芸員がサポート
(東京都美術館ニュース)
照明は、みる人を作品の世界に引き込む
(東京都美術館ニュース)
【漫画】「この展覧会の実現に青春の全てを捧げた若者の記録だニャ」
(東京都写真美術館)
展示について解説するギャラリートーク、作家や専門家によるトークイベント、作品制作や体験に挑戦するワークショップなど、さまざまな人が参加できるプログラムを計画し実施するのも学芸員や専門スタッフの大切な仕事の一つ。一人で作品・資料に向き合うのもいいけれど、イベントに参加すれば難しく思えたことをわかりやすく教えてもらえたり、感動をシェアできたりと、新たな楽しさが加わります。
「石岡瑛子を語りつくす」トークセッション
(東京都現代美術館)
熟練の匠が先生に「体験!発見!職人さん」
(江戸東京たてもの園)
【動画】作品を語る「生命の庭」アーティストインタビュー
(東京都庭園美術館)
【動画】学芸員が続々登場!公式YouTubeチャンネル
(江戸東京博物館)
【動画】英語で展示解説<English online gallery tour>
(東京都写真美術館)
【動画】「石岡瑛子を語りつくすトークセッション」アーカイブ
(東京都現代美術館)
楽しさ大集合!「おうちでカルチャー」
(東京都歴史文化財団)
小・中・高等学校の生徒を招くスクールプログラムやインターンの受け入れなど、未来を見据えて人を育て、芸術文化に親しむ機会を作る教育普及の仕事も、学芸員や専門スタッフが中心となって行います。子供から大人まで、そしてさまざまな背景を持つ人たちにもわけへだてなく芸術や文化を届けたい!アーティストや研究者を目指す人の役に立ちたい!スタッフたちにはそんな熱い思いがあるのです。
スクールプログラムの様子
(東京都写真美術館)
ラーニング・プログラム
(東京都庭園美術館)
教育普及プログラムとは
(東京都写真美術館)
教育普及
(東京都現代美術館)
アート・コミュニケーション・プログラム
(東京都美術館)
教育普及事業のご案内
(東京都歴史文化財団)
【漫画】「オンラインでもがんばるぞの巻だニャ」
(東京都写真美術館)
[参考]令和3年度博物館実習生の受入れについて(応募対象あり)
(江戸東京博物館)
美術館・博物館の図書室は、来館者の好奇心に幅広く応えてくれる人気スポット。過去の展覧会カタログ(図録)や作品集・写真集、海外の出版物や歴史的価値のある希少本など、貴重な資料がたくさん揃っているのに加え、展示をより楽しむための工夫が凝らされていることも! 図書の管理を専門に行う司書たちは質問にも優しく答えてくれるので、わからないことがあったら尋ねてみましょう。
美術図書室は約27万冊の資料を所蔵
(東京都現代美術館)
高校生インタビュー「運営からお客様とのコミュニケーションまで、幅広い司書の役割」
(東京都現代美術館美術図書室)
【漫画】「司書のお仕事は深きことマリアナ海峡の如しだニャ」
(東京都写真美術館)
1つの館で完結するのではなく、地域・学校・大学をはじめ、いろいろな人と一緒に新しい場をつくり、つながるチャンスを拡げるのも、美術館・博物館の仕事です。多くの人がかかわるプロジェクトを継続していくことで、社会にさまざまな価値観や新しい考え方が生まれます。美術館・博物館ができることは、これからもさらに広がっていきます。
「東京都美術館×東京藝術大学 とびらプロジェクト」
アート・コミュニケータ140名集合!
撮影:藤島亮
アートを介してコミュニティを育む「とびらプロジェクト」
(東京都美術館)
社会包摂につながるアート活動のためのフォーラム
(東京文化会館・東京都美術館・東京都現代美術館・アーツカウンシル東京)
美術館や博物館には有名な作品から歴史的遺産まで、さまざまな文化財が収蔵されていますが、それら収蔵品や各館の専門分野について調査・研究し発表することも学芸員の重要な仕事の一つです。これまで分からなかった謎に迫り、新しい発見をしたときの充実感は格別なもの。想像力や探求心による研究の積み重ねが、作品や資料の魅力を人々に伝え、未来に繋いでいくことになるのです。
高校生インタビュー「誰も知らないことを明らかにするのが“研究者”」
(江戸東京博物館)
学芸員・研究員と“えどケーション”!「えどはくカルチャー」
(江戸東京博物館)
調査・研究 刊行物一覧
(江戸東京博物館)
【漫画】「企画研究執筆その他もろもろ学芸員は超多忙だニャ」
(東京都写真美術館)
美術館や博物館は、次世代に伝えるのにふさわしい作品・資料を、それぞれの館の基準で収集しています。学芸員が中心となって調査や交渉を何度も行い、慎重に収集計画を作ります。収集の対象には過去の遺産だけではなく、現代の作品・資料も含まれ、それらもやがて、未来から“今”を振り返る貴重な遺産となるのです。また、収蔵品は国内外の施設にも貸し出され、世界中の人々が鑑賞します。
コレクション
(東京都庭園美術館)
令和元年度新収蔵作品のご案内
(江戸東京博物館)
【動画】「新収蔵品 関東大震災 関係資料」から今を考える
(江戸東京博物館)
収集の基本方針
(東京都写真美術館)
どこでもTOP
(東京都写真美術館)
当館の収蔵作品について
(東京都現代美術館)
貸出中の収蔵作品
(東京都現代美術館)
収蔵品
(東京都美術館)
【漫画】「作品の貸し借りは計画的かつ厳重にだニャ」
(東京都写真美術館)
東京都立博物館・美術館収蔵品検索サイト「Tokyo Museum Collection」
(東京都歴史文化財団)
美術館や博物館にある収蔵庫は作品・資料のために管理された特別な部屋。専門スタッフによって、湿度や気温等を管理した環境の中で、さまざまな文化財が保存されています。施設によっては、屋外に歴史的建造物をまるまる移築・復元していることも!劣化が進んでいる作品・資料は、化学的知識や特別な技術を習得した内外のプロフェッショナル達が必要に応じて修復し、またはこれ以上劣化が進まないように手当てします。
【動画】建物管理業務(「わたしのイチオシ」より)
(東京都庭園美術館)
【動画】染織資料を扱う学芸員の様子 企画展「和宮 江戸へ」より
(江戸東京博物館)
デ・ラランデ邸 復元工事の記録
(江戸東京たてもの園)
【動画】写真修復師による鶏卵紙の手彩色
(東京都写真美術館)
【漫画】「写真の保存と管理はTOPの命だニャ」
(東京都写真美術館)
【漫画】「写真もお肌といっしょだニャ?保存修復大実験の巻だニャ」
(東京都写真美術館)
素晴らしい展示やイベントなどの企画を、多くの人に知ってもらいたい! そこで重要な役割をはたすのが、広報担当者です。マスコミにプレスリリースを配布して取材を促したり、Webサイトや広報誌、チラシを制作したり、最近ではSNSも活用しています。専門分野に関心を持つ方々の知的好奇心に応えるべく、広報担当者は工夫をこらし、内外の応援と協力を求めて奔走します。
各館の広報誌など(広報誌とは、美術館・博物館の活動を伝えるために発行される発行物です。)
作家と来館者を繋ぐ工夫も「生命の庭 作家への手紙」
(東京都庭園美術館)
広報担当者が作ったプレスリリースでメディアに情報発信
(東京都歴史文化財団)
全館が連携したキャンペーンも
(東京都歴史文化財団)
美術館・博物館には、管理・経理をはじめ、館の運営を支えるスタッフも活躍しています。たとえば、お客様が安全・安心に館を利用できるように施設の定期点検を取り仕切ったり、予算が適切に使われているかをチェックしたり、働きやすい職場環境を整えたりなど、その内容はデスクワークから交渉・調整・実施まで、内外を問わず広範囲にわたります。
別冊広報誌『ニァイズ』vol.117
(東京都写真美術館)
【漫画】「管理係はサッカーのディフェンシング・ハーフ!?」
(東京都写真美術館)
様々な係が協力して美術館・博物館は運営されています
(東京都歴史文化財団)
展覧会カタログを扱うミュージアムショップでは、展示内容にあわせて関連書籍を集め特集コーナーを設置し、オリジナルグッズを企画・製作し販売するなど、ショップ・スタッフが大活躍。また特別展や企画展にあわせたコラボ・メニューが登場することもあるレストランやカフェでは、ホール係や調理係、店によってはソムリエやフロント係など多くのスタッフが来館者の憩いの場を支えています。
【動画】「西洋庭園を見渡すレストラン」(「わたしのイチオシ」より)
(東京都庭園美術館)
【動画】「植栽管理でいつも美しい庭園に」(「わたしのイチオシ」より)
(東京都庭園美術館)
展覧会特設ショップ
(東京都美術館ニュース)
【漫画】ミュージアムショップ(「美術館のおしごと図鑑」より)
(東京都美術館)
【漫画】レストラン・カフェ(「美術館のおしごと図鑑」より)
(東京都美術館)
日々、多くの人々が利用する文化施設では、安全と安心を守るべくさまざまな職種の人が働いています。チケットを販売し来場者を案内する受付係、展示室内を見守る監視員、照明やエレベーターなどを点検・維持する設備係、安全を守る警備員、館内を何度も行き来して清潔を保つ清掃員。来場者や中で働く人々が安心して気持ちよくすごすために、一つとして欠かすことのできない重要な役割ばかりです。
東京都庭園美術館の監視員たち
【漫画】総合案内(「美術館のおしごと図鑑」より)
(東京都美術館)
【漫画】清掃員(「美術館のおしごと図鑑」より)
(東京都美術館)
【動画】「展示室内を見守る監視員」(「わたしのイチオシ」より)
(東京都庭園美術館)
多種多様な活動をしている美術館・博物館では、ボランティアの力が大きな助けとなっています。同時に、芸術文化に関わる事業への理解を深めてもらえるチャンスでもあり、幅広い年齢の方々が参加してきました。興味がある人は、美術館・博物館のWebサイトで、募集情報をこまめにチェックしてみましょう。
たてもの園のボランティア活動
ボランティア活動
(江戸東京たてもの園)
ボランティア研修会の様子
(東京都写真美術館)
様々な仕事にプロフェッショナルが活躍している都立美術館・博物館。
表舞台からは気づきにくい地道な活動が、次世代の芸術文化を支えています。
気になった仕事に注目して美術館・博物館を利用してみると、ますます興味がわいてくることでしょう。
身近な都立美術館・博物館に注目です!
美術館・博物館を知りたい Welcome Youth -2021 春-