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指先から広がる、でっかいアート! 夏のこどもワークショップ「LITTLE FINGERS BIG ART 2018」〈トーキョーアーツアンドスペース〉

全身を使って元気いっぱいに緑を広げていく

 

 

トーキョーアーツアンドレジデンシーに緑が広がる!

8月も終わりに近づいた日曜日。墨田区立川のトーキョーアーツアンドスペースレジデンシー(以下、TOKASレジデンシー)にて、「夏のこどもワークショップ『 LITTLE FINGERS BIG ART 2018』」が開催されました。講師にイラストレーターの遠山敦(とおやま・あつし)さんを迎え、体全体を使って、みんなで紙いっぱいに巨大なジャングルを描きます。

 

参加したのは、小学生から中学生まで約30名の子供と大人たち。指先や手のひら、足まで使って参加者全員で1枚の巨大な森の絵を描き、完成した作品をTOKASレジデンシーの窓に展示します。
講師の遠山敦さんは、傘やワンピースなどに使われるテキスタイルにイラストを提供するほか、ロゴデザインや本の装丁、絵本の挿絵も手掛けるなど多方面で活躍するクリエイターです。

 

遠山さんと子供たちは、会場に敷かれた巨大なシートの上に裸足でスタンバイしました。みんなで大きく真っ黒な画用紙を、床一面に広げていきます。

 

みんなで紙をコロコロ

 

これから何が起きるんだろう?と、緊張の面持ちの子供たちを前に「これはかきごおりのシロップです」と、遠山さんが手に持ったのはシロクマの絵が描かれた容器。「シロップというのは冗談ですよ」と続けます。「これは緑色の絵の具です。今日は手や足を使って絵の具で遊ぼう!」。子供たちは絵の具を手にとり、足元の画用紙に塗っていきました。

 

左:絵の具の感触がひんやり気持ちいい   右:大きい紙が少しずつ緑に染まっていく

 

「叩いたり、ひっかいたり、伸ばしたり。あんまりきれいに塗ろうとしなくていいですよ」という遠山さんのアドバイスで、みんなは自由に画用紙の上を動き回ります。ポンポン、ペタペタ、グルグル、トントン。いつのまにか腕にも顔にも絵の具をつけて、ピョンピョンとカエルのように飛び跳ねる子もいました。

 

「ママ見て!」 

 

緑が画用紙いっぱいに広がったところで、遠山さんが取り出したのは黄緑色の絵の具。緑色の上に黄緑色を塗り広げます。続いて黄色も。「これは何味かな?」という遠山さんの問いかけに「バナナー!!」「えーっ、レモンだよ!」と、元気に答える子供たち。小さい子も大きい子も「次の絵の具は何色かな?」と遠山さんが持つ絵の具に夢中です。

 

「これは何味かな?」 「次は何色かな?」

 

 

夏を涼しく彩る森の壁

黄色の次は桃色、青色、赤色、茶色、白色と重ねていきました。こうしてたくさんの色が混ざり合った、深みのあるジャングルの完成です。

 

   
緑一色のジャングルに様々な色が加えられていく

 

完成した1枚の絵を、TOKASレジデンシーの窓の形に切り取り、窓に貼り、外に出てみると……。
道路に面した大きなガラス一面に緑の森が広がりました。この森に、今度は指先で生き物を描いていきます。
白い絵の具でガラスに描かれたのは、鳥、ネズミ、猫など自由に描かれた生き物たちです。

 

左:ガラス窓の形に切り取った作品   右:ガラスに白い絵の具をペタペタ

 

「最近釣りにはまってて」と話す小学5年生の男の子が描いたのは魚でした。「絵の具のセットを出すのが面倒で好きじゃないし、手で描くのが楽しかった!」と今日の感想。お母さんは「いつになく集中していましたね。絵の上で、子供たちがアクロバティックな動きをしていたのが印象的でした」と話します。

 

最後にみんなで完成した作品の前で記念写真を撮り、今日のワークショップは終了。

みんなで描いた森が、住宅街の風景をがらりと変えました。その後、作品は1週間ほど展示されました。

 

作品が展示されたトーキョーアーツアンドスペースレジデンシー外観

 

遠山さんは「みんな最初は表情も硬かったけれど、徐々にほぐれていったようでよかったです」と振り返ります。今回、黒い画用紙を使ったのは「非日常感」を演出したかったからだそうです。普段はなかなかできない遊びに、「子供の新たな一面を発見する機会になりました」と話すお母さんもいました。

 

昨年の夏に続き、TOKASレジデンシーでの2回目となる「夏のこどもワークショップ」。トーキョーアーツアンドスペースでは、子供向けから大人向けのワークショップを不定期に開催しています。

 

 

夏のこどもワークショップ「LITTLE FINGERS BIG ART 2018」開催概要

【日時】2018年8月19日(日) 午前の部:10:30-12:30/午後の部:14:30-16:30
[ワークショップ作品展示:8月21日(火)~8月28日(火)]

【講師】遠山敦
【対象】小学生以上(大人も歓迎)
【定員】各回15名(事前予約制・先着順)
【参加費】無料
【会場】トーキョーアーツアンドスペースレジデンシー
【URL】http://www.tokyoartsandspace.jp/archive/2018/07/r0819.shtml

 

 

 

 

遠山敦(イラストレーター)
1970年岐阜県生まれ。デザイン事務所勤務後、独学で絵を描きはじめる。鳥をモチーフとした絵を多く描き、作品集「Bird Book」、「Colored Bird Book」刊行。日本各地で楽しみながら絵を描くワークショップを企画、開催している。

 

 

写真:中川周