渋谷区神南の東京都渋谷公園通りギャラリーが約2年の改修期間を経て、2020年2月8日にグランドオープンしました。
改修のポイントとグランドオープン記念事業 展覧会 「あしたのおどろき」をご紹介します。
| 交流スペースを加えて、広く開かれた施設としてリニューアル
渋谷公園通りにある「東京都渋谷公園通りギャラリー」
代々木公園やNHK放送センターにつながる渋谷公園通り沿いにある「東京都渋谷公園通りギャラリー」が、約2年の改修期間を経て2020年2月8日にグランドオープンしました。
東京都渋谷公園通りギャラリーは、アール・ブリュット等のさまざまな作品を広く紹介することで、アートを通してダイバーシティの理解促進や包容力のある共生社会の実現に寄与することを目的とする事業の拠点と位置付けられています。
アール・ブリュットとは、フランスの芸術家、ジャン・デュビュッフェによって20世紀半ばに提唱された言葉で、現在は美術の専門教育経験のないアーティストによる自由な発想や表現方法、または独学によって創作されたアート等を指します。
今回の改修では、2つある展示室の改装に加え、「交流スペース」が新たに設けられたことが大きなポイントとなっています。公園通りに面したこの「交流スペース」では、展示だけではなくアーティストによる公開制作や、音楽ライブイベントなど、さまざまなイベントが開催されることになっています。また、特別なイベントが行われないときはギャラリーの事業に関連した書籍を閲覧できる場所としても開放されます。
また、2つの展示室も、改装によりギャラリースペースとしての機能が向上しました。すべての照明をLED照明に変更し、可動壁も導入されたため、展示ごとに柔軟に対応できる環境が整いました。
グランドオープン記念事業「展覧会 あしたのおどろき」はテーマに合わせた設営で作品を展示。
建物の北側にはもうひとつ入り口があり、こちらは人気のアパレルショップなど渋谷のファッションカルチャーを牽引する区域に続いています。ショッピングのついでに最先端の現代アートも鑑賞できるという、なんとも渋谷らしい散歩コースとしてもおすすめです。
木をイメージした4つのオブジェが新しい目印。
東京都渋谷公園通りギャラリーは誰もが気軽に立ち寄れる場所として、これまで以上に施設内に様々な配慮が施されました。例えば公園通り側の入り口には車いす用昇降機、ギャラリー内には筆談器や点字ガイドブックが準備されていますし、介助犬の同伴にも制限はありません。また配布される資料の一部には、スマートフォンのアプリケーションUni-voiceに対応したコードが印刷され、読み込むとパンフレットに印刷された文章の内容を音声で聞くこともできます。
Uni-voiceコードの有無や位置が手触りでわかるように「切り欠き」が入っています。
東京都渋谷公園通りギャラリーは、日本各地はもちろん、国外からもたくさんの人が行き交う渋谷において、多様なアートや創造性・価値観にすべての人がアクセスできる施設として期待されています。
| グランドオープン記念事業 展覧会「あしたのおどろき」 を実施
散策のように鑑賞を楽しめるよう、山をイメージした壁が設置された展示室
グランドオープン記念事業として、展覧会 「あしたのおどろき」を実施。本展覧会では、国内外で評価の高いアール・ブリュットとコンテンポラリー・アートのアーティスト、合わせて13組の作品が展示されました。
誰の日常にもある「小さなおどろき」や「不意の発見」をテーマに、油絵やドローイングのような基本的な技法のほか、布や糸といった身近な素材を用いたものや、動植物や日用品などの身近な題材をモチーフとした作品が中心です。それらを自由な描写や斬新な手法によって表現された作品を通じて新鮮な驚きを感じられるような展示として発信しました。
意図せず自由に裁縫を進めたことでできあがったぬくもりのある作品。
東京都渋谷公園通りギャラリーにおけるアールブリュットを中心とした多様なアートの展示や活動は、これからの共生社会を考えるきっかけになりそうです。
今後の展覧会やイベント予定は、東京都渋谷公園通りギャラリーの公式ページをご覧ください。
| 東京都渋谷公園通りギャラリー
場所:東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館 1F
公式ホームページ:https://inclusion-art.jp/
公式twitter:https://twitter.com/skdgallery
文:野崎 さおり