年に一度、東京都写真美術館をメイン会場として恵比寿の街を舞台に開催している、映像とアートの国際フェスティバル「恵比寿映像祭」。記念すべき第10回を迎えた今回は、25の国と地域から94組118人のアーティストやゲストが参加、2月9日(金)から25日(日)までの15日間(※13日(火)、19日(月)を除く)にわたって開催されます。
第10回恵比寿映像祭ディレクター 田坂博子
(東京都写真美術館学芸員)
今回の総合テーマ、「インヴィジブル」とは一体何を意味しているのか?
ディレクターを担当した田坂学芸員によると、「映像は世界を光で照らし出すと同時に、見えていない隠れた日常をも浮かび上がらせます。映像があらわす、この見えないもの=『インヴィジブル』をテーマに、展示や上映、イヴェントなどを複合的にお届けします!」とのこと。
ヴィジュアルなものであるはずの映像にひそむ、「不可視なもの(インヴィジブル)」を読み解いていただくために、
ここでは、多数開催されるプログラムの中から、注目のアーティストやおすすめポイントをいくつかご紹介します。
まずは、初めて来場する方や、作品やテーマについてさらに深く知りたいという方には、無料のガイドツアーへの参加がオススメです。
英語のツアーもあります。
日時や内容等の詳細はこちら。
ポール・シャリッツ《Shutter Interface》1975
今回の映像祭では、構造映画の代表的作家、ポール・シャリッツ(アメリカ)による、映像史とメディアアート史を横断する最重要作品、16ミリフィルムの4面インスタレーションが日本初上陸。そのほか、冬季オリンピック平昌大会にちなんだ最新の映像規格8Kの参考上映展示やシンポジウム、日本のアングラ映画を代表する岡部道男の16ミリフィルム特集など、多様な映像メディアによって映像体験の可能性を考えることができる、多彩な映像作品やプログラムが展開されます。
ラファエル・ローゼンダール《Into Time 15 05 02》2015
©Rafaël Rozendaal Photo: Ken Kato
ラファエル・ローゼンダール
Rafaël ROZENDAAL
中でも注目なのが、主にインターネット空間を表現の場として活動するオランダのアーティスト、ラファエル・ローゼンダール。平面なのに見る角度によって画像が動く作品「レンチキュラー・ペインティング」を出品します。2月12日(月・振)には、東京都写真美術館2Fロビーで行われるラウンジ・トークにも登場。出品作家の生の声は、ここでしか聞くことのできない貴重な機会なので、各イベントの開催プログラムを是非チェックしてみてください。
ミディ・ジー《リターン・トゥ・ビルマ》2011
ミディ・ジー
Midi Z
上映プログラムでは、多数のアジアプレミア、ジャパンプレミア作品が登場します。世界が注目する新鋭映画監督ミディ・ジー(ミャンマー/台湾)は、故郷ミャンマーを描いた日本未公開の長編作品を上映。新作と連動する短編映画も紹介し、見えない国境や労働者をあぶりだすミディ・ジーの挑戦の軌跡を遡ります。
また、現在注目の国際映画祭と連携したプログラムでは、ミャンマーのワッタン映画祭の短編集、カナダのランデヴー・ウィズ・マッドネス映画祭などからセレクトされた映画を日本初公開。さらに、日本の実験映画、ヴィデオアートのパイオニア的存在、出光真子の作品を特集上映し、日本の1960~70年に注目します。
上映のプログラムはこちらでご確認ください。
invisible designs lab.《予言》
invisible designs lab.
恵比寿ガーデンプレイスのセンター広場では、「音」と「アイデア」を「見える」ようにするための活動を行う作家集団 invisible designs lab. が、《予言》と題した「テレパシー現象装置」を出現させます。一体何が起こるかは、ぜひご自分で、実際に作品に触れて感じてみてください。
このほかにも、「第10回恵比寿映像祭」では、気鋭のアーティストらによる実験的なライヴセッションや、アーティストや作家を招いてのラウンジ・トークやシンポジウムなど、ここではご紹介しきれなかった多数のプログラムが連日開催されています。会期中、東京都写真美術館1階スタジオがフェスティバルサロンになり、フェスティバル情報はもちろん、地域連携プログラムの情報についても発信するスポットとなります。一部の定員制のプログラムを除き、無料でご覧いただけますので、詳細を公式サイトでご確認の上、ぜひみなさまでお越し下さい。
会期:平成30(2018)年2月9日(金)~2月25日(日)[15日間]〈13日(火)、19日(月)休館〉
時間:10:00 〜 20:00 (最終日は18:00まで)
会場:東京都写真美術館、日仏会館、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンプレイス センター広場、地域連携各所ほか
料金:入場無料 ※ 定員制のプログラムは有料
URL:www.yebizo.com