飯田橋駅から徒歩約13分のところに印刷博物館はあります。
他の駅からも行けますし、都営バスも利用できるので、公式サイトを参考にしてください。
TOPPAN小石川ビルの地下と1階のスペースをしめています。
「ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ 書物がひらくルネサンス」が、7月12日(日)まで開催中です。
2002年の「ヴァチカン教皇庁図書館展 書物の誕生」開催から13年、第2回目となります。
一般料金800円がぐるっとパスだけで入場できます。
※この展覧会は、すでに終了しています。
今回は、ヴァチカン教皇庁図書館所蔵の中世写本、初期刊本、地図、書簡類計21点を中心に、印刷博物館および国内諸機関所蔵の書物を加えた計69点が展示されています。

ヴァチカン教皇庁図書館外観
©2015 Biblioteca Apostolica Vaticana
ヴァチカン教皇庁図書館とは?
15世紀半ばにローマ教皇ニコラウス5世により設立。世界最古の図書館のひとつであり、人類遺産ともいうべき歴史的図書の重要なコレクションを収容する図書館です。研究目的など以外、一般の人が利用することはできません。
この展覧会の展示構成は、
第1部 祈りと救い
第2部 古代の叡智
第3部 近代の扉をひらく
第4部 ヴァチカン貴重庫でみつけた日本・東アジア
の4部構成となっています。
さらに、プロジェクションマッピングでヴァチカン教皇庁図書館が歩んできた歴史を簡単に紹介する展示などもあります。
おそらくみなさんがイメージされるような古い書物をガラスケース越しにながめるというだけでなく、より身近に体感できる展示手法も各所に工夫されています。
もちろんながめているだけで、ため息が出るほど面白い書物たちが並んでいるのですけれど・・・
企画展示室の入口です。いよいよここからスタートです。
右側の写真はヴァチカン図書館の「シクストゥス5世の広間」。
16世紀に現在のヴァチカン図書館(新館)が造られたときの教皇がシクストゥス5世です。
第1部 祈りと救い
このコーナーでは聖書を中心に、キリストの教えに触れる15-16世紀のルネサンス活字本を取り上げています。

聖書(イタリア語) 1490年 ヴァチカン教皇庁図書館蔵
Inc.II.903 ©2015 Biblioteca Apostolica Vaticana

聖書(ラテン語) 1511年 印刷博物館蔵
どちらの聖書の版画も同じ原版が使われているのがわかります。
第1部の途中に、プロジェクションマッピングのコーナーがあります。
6分間という短い時間ではありますが、ヴァチカン教皇庁図書館への興味が深まるとともに、これからひもとかれるルネサンス時代の書物への期待がさらに膨らみます。
第2部 古代の叡智
第2部では古代のギリシア・ローマの思想・文学・博物学・技術などを理想とした人文主義者(ユマニスト)を紹介しています。
展示のみどころの1つはプリニウスの『博物誌』が展示されていることです。

プリニウス『博物誌』 1472年 印刷博物館蔵
古代ローマの博物学者プリニウスがあらわした『博物誌』は全37巻。
天文・地理・動植物学・美術、怪物や迷宮にいたるまでを網羅した百科全書。後世に多大な影響を及ぼしました。

バルトロメオ・マルリアーニ『都市ローマの地誌学』 1544年
ヴァチカン教皇庁図書館蔵
Stamp.Barb.O.VIII.69 ©2015 Biblioteca Apostolica Vaticana
これは、ラオコーン像の木版画。ヴァチカン美術館のピオ・クレメンティーノ美術館所蔵のラオコーン像です。
プリニウスの『博物誌』にもその存在は取り上げられています。

展示風景
第3部 近代の扉をひらく
ユマニストが生んだ新しい価値観は、各分野で高度なルネサンス精神として結実しました。

サンドロ・ボッティチェリ ダンテ『神曲』(複製版)
オリジナル:1492-97年
ヴァチカン教皇庁図書館蔵 Reg.lat.1896, f.101r
©2015 Biblioteca Apostolica Vaticana
これはボッティチェリのダンテ『神曲』の挿画の複製ですが人間の9つの大罪を描いて地獄をあらわしたものです。
細かいですが、よく見ると階層ごとの地獄の種類が見て取れます。
最も美しいイタリア彩色写本のひとつとされるダンテ『神曲』(通称・ウルヴィーノ・ダンテ)の複製本を実際にめくってみることができます。
私自身体験してみて、本は実際にページをめくる喜びが大きいなと改めて実感しました。
第4部 ヴァチカン貴重庫でみつけた日本・東アジア

天正少年使節からヴェネツィア共和国政府への感謝状 1585年
ヴァチカン教皇庁図書館蔵 Borg.cin.536
©2015 Biblioteca Apostolica Vaticana
九州のキリシタン大名の名代として伊東マンショら4名の天正少年使節がヨーロッパへと派遣された際、ヴェネチアで受けた歓待へのお礼の書状。下部に4名の花印と欧文サインが書かれています。このように日本ゆかりの貴重な資料もヴァチカン教皇庁図書館には所蔵されています。
ここでご紹介したのは、展示のごくごく一部です。
本当に貴重な書物や書簡類と対面するチャンスです。本好きの方はもちろん、ちょっと好奇心をいだいたという方も、印刷博物館を訪れて実物をまのあたりにしてみてください。
あなただけの発見が必ずあるはずです。
企画展示室を出ると

常設展示のコーナー

印刷工房
ワークショップなどが行われ、実際に活版印刷を体験できます。
プログラムのスケジュールは公式サイトでご確認ください。
http://www.printing-museum.org/bottega/
順番が後になってしまいましたが、ぐるっとパスは展示室のある地下に降りたところにある受付で販売しています。
他に1階にはミュージアムショップ、P&Pギャラリーがあります。
ミュージアムショップには今回の企画展の図録やオリジナルのマステやポストカード、チケットホルダーなども販売されています。
※このブログ記事は、2015年6月に掲載されたものです。
会場:印刷博物館
http://www.printing-museum.org/
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館し、翌日休館)、年末年始、展示替期間
「ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ 書物がひらくルネサンス」
会期:2015年4月25日(土)~7月12日(日)
入場料:一般800円、学生500円、中高生300円
印刷博物館には、ぐるっとパスだけで入場できます。
企画展開催時以外の入場料は異なります。