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東京芸術劇場 Y.N

アーティストと観客をつなぎ
社会に響かせる

事業企画課 事業第一係 主事/2020年入団
固有正規職員/舞台制作

Q1 今の仕事内容について教えてください

劇場で行われる公演を立案し、
企画の舵取りを行います。

公演の企画立案から出演者の選定、チケットの販売促進まで広く携わっています。プロデューサーのような役割が大きいですが、アーティストと話し合って内容を決めたり、照明や舞台などの技術スタッフとすり合わせたりと、“調整役”というほうが近いでしょうか。定期的に開かれる企画会議で、自分で考えた企画が採用されたときの喜びはひとしおです。例えば、芸劇リサイタル・シリーズの『VS(ヴァーサス)』というピアノ・デュオの企画。これは「ラップバトルのような熱いピアノ・デュオ公演を作りたい」という発想から生まれました。タイトルを「VS」としたことで、観客がピアノ・デュオを違う角度からとらえることができると考えています。

Q2 入団のきっかけは何でしたか?

イチから企画を立てる面白さを
仕事にしたかった。

大学では観光まちづくりを学びました。就職活動前に企業インターンを経験したのですが、普通の会社で働くというのがピンとこなくて。もともと興味のあった芸術方面に進みたいと思い、芸術系大学院のアートプロデュース専攻に進学したんです。大学院生のときは、古民家でオペラを上演したり、市民参加型のアートプロジェクトを担当したりと、アーティストとイチから企画を立てることが多かったですね。「企画立案を仕事にしたい」と入団し、当初は常勤契約職員として採用されましたが、雇用転換試験を経て、2024年から固有正規職員になりました。東京芸術劇場は企画立案から手がける自主事業が多いので、大学院で学んだことを活かせていると感じています。

Q3 仕事で心がけていることは何ですか?

公演の最初の観客となり
芸術家の意図を“翻訳”する。

この仕事は、芸術の作り手と受け手をつないで社会にどう響かせるかを考えるものだと考えています。そのためには、公演の最初の観客として「この表現は本当に伝わるか?」をシビアに見なければいけません。伝わりづらいかもと思ったら「もっとこうしましょう」と提案することもあります。また、アーティストとの対話の中で、より良いアイデアが見つかると本当に嬉しくなりますね。そういう意味では、アーティスト側と観客側、どちらにも軸足を置いて公演を眺めなければなりません。板挟みになることもあるのですが、お客様の反応が良かったときはこの上ないやりがいを感じます。

Q4 舞台制作に求められる資質は?

固定観念に縛られず
うまく立ち回る柔軟さ。

「自分はこうしたい」という思い入れや固定観念に縛られず、柔軟であることではないでしょうか。企画を進めるにあたって「これは難しいな」と思う事態に直面することは何度もあるからです。この場合、時には流されながらうまく立ち回ることも必要というのは私自身が学んだことであり、舞台制作に必要な資質かなと考えています。もちろん流されているだけでは進まないので、“調整役”として、人とコミュニケーションを取り、企画を実現に導いていく力も同時に求められると思います。当館は2025年9月のリオープン、2026年には山田和樹氏・岡田利規氏の新芸術監督就任と、節目を迎えます。公共ホールがどうあるべきかを改めて考え、盛り上げていきたいですね。

Q5 仕事の息抜きを教えてください

趣味を仕事にしているゆえの
悩みと喜びがあります。

企画を創るためには、世の中のさまざまな公演にも足を運びます。ただ、趣味を仕事にする者の宿命でしょうか、純粋にお客目線で楽しめず、つい「もっとこういうほうがいい」と考えてしまうのが悩みです(笑)。他には、先輩と飲みに行って他愛ない話をしたり、ランニングで汗をかいたりして発散をします。料理も好きなので、手の込んだ料理をするのも大切な時間。根っからものづくりが好きなんでしょうね。でも本当の喜びは、公演当日の祝祭感やワクワクを肌で感じ、最高のパフォーマンスをしたアーティストやお客様の嬉しそうな顔を見たときです。それまでの苦労がすべて吹き飛びます。