ぐるっとパス 活用ブログ

【展覧会レビュー】「~かおりを飾る~珠玉の香合・香炉展」静嘉堂文庫美術館

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 今回は、二子玉川駅から徒歩20~25分、バス利用(バスの所要時間約10分、バス亭から徒歩5分)もできる静嘉堂文庫美術館をご紹介いたします。
交通案内はこちら

8月13日(日)まで、「~かおりを飾る~珠玉の香合・香炉展」を開催中です。
この展覧会にはぐるっとパスで入場できます。
※この展覧会は、すでに終了しています。


国宝《曜変天目》(稲葉天目)が会期を通して展示されています。

国宝《曜変天目》(稲葉天目)中国・建窯 南宋時代(12~13世紀)

話題の国宝を鑑賞する絶好のチャンスです。この機会にぜひお見逃しなく。静嘉堂文庫美術館はぐるっとパスで入場できるので、この機会にパスを上手く活用してください。

今回の展覧会では、香を焚く道具「香炉」と、香(香木・練香)を入れる蓋付きの器「香合」に着目し、静嘉堂所蔵の珠玉のコレクションを公開しています。香合は約80件、それに香炉の優品とともに、豪華な蒔絵の香道具も合わせ、約100件を展示しています。香合・香炉のまとまっての公開は、20余年ぶりとのことです。

展示室に入る前のラウンジは窓が大きくて見晴らしが良く、素敵な空間になっています。こちらにも作品が展示されています。

《青磁香炉》中国・南宋官窯 南宋時代(12~13世紀)

ラウンジに展示されているのは世界的にも貴重な《青磁香炉》。
澄んだ青磁釉が数回厚くかけられ、それが焼成後の冷却とともに幾重にもヒビ(貫入)が入って完成した姿は、まさしく人と炎が作り上げた「玉(ぎょく)」です。
香炉・香道具の出品作から見どころといえば以下の3点です。野々村仁清の香炉2点と香道具の「十種香道具(香箱)」です。

重要文化財 野々村仁清《色絵法螺貝香炉》御室窯 江戸時代(17世紀)

京焼で色絵陶器を完成させた野々村仁清。五色の糸を貝にまきつけたかのような彩色を施し、金彩を加えて数度低火度で焼付けて、極彩色の法螺貝香炉としています。

野々村仁清《銹絵白鷺香炉》御室窯 江戸時代(17世紀)

静嘉堂の10年前の展覧会で初公開されましたが、近年ことに注目されている仁清の香炉です。鷺の伸びやかな嘴(くちばし)と頸(くび)、羽根のまろやかな白さ、こちらは彩色を控えめにした作品です。
この仁清の優品2点を見られるだけでも貴重な機会です。

《吉野山蒔絵十種香道具》江戸時代(18世紀)

「十種香道具(香箱)」とは、基本となる十種の組香を催すためにととのえられた香道具のすべてと、その外箱の総称です。
まばゆいばかりの金地に、金・銀の高蒔絵、金属の薄板を貼り付けた金貝技法で、桜花満開の吉野山の風景を描いた、じつに贅沢な一式です。

今回出品されている多彩な香合の中から、ここでは2点をご紹介します。

《交趾狸香合》中国・?州窯(田坑窯)明時代(16世紀末~17世紀前半)

丸く、愛らしい狸の姿をした香合として、また舶来の貴重な「交趾(こうち)」香合として、大変著名な形物香合の一つです。タヌキとされていますが、実は、東南アジアに生息するサルの可能性もあります。
交趾というのは、ベトナム北部をいう古名です。

《古染付荘子香合》中国・景徳鎮窯(田坑窯)明時代(17世紀前半)

香合を菱に置き、白地に青い蝶一頭を浮文様であらわした清楚な形物香合。このデザインに「荘子」の名があるのは、戦国時代の思想家・荘子(荘周)が蝶になった夢を見た、という著名な故事からきています。

『形物香合相撲』江戸時代・安政2年(1855)刊 ※拡大版の図版

そして茶道具の陶磁香合といえば、俗称「香合番付」こと『形物香合相撲』のランキングがよく知られています。
会場にはもちろん実物も展示されていますが、今回の展示番号を示した拡大版の図版も展示されています。
番付の評価を参考にして、鑑賞してみるのも興味深いことでしょう。

国宝《曜変天目》(稲葉天目)中国・建窯 南宋時代(12~13世紀)※実際の展示風景

なんといっても今回の展覧会で見逃せないのは、国宝《曜変天目》です。高さが70cmの低めの展示台で公開されているので、茶碗内面を広く鑑賞できるように配慮されています。ここはじっくりと、《曜変天目》を味わいたいところです。

静嘉堂文庫美術館はぐるっとパス2017から新規参加の美術館です。
もちろん、行かれたことのある方もあるとは思いますが、まだの方は、この展覧会をきっかけとして思い切って訪れてみるのはいかがでしょうか。

※このブログ記事は、2017年7月に掲載されたものです。
※このブログ内に掲載している画像の無断転載は禁止します。

会場:静嘉堂文庫美術館
http://www.seikado.or.jp/

「~かおりを飾る~珠玉の香合・香炉展」
会期:2017年6月17日(土)~8月13日(日)
※この展覧会は、すでに終了しています。
休館日:月曜日
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
観覧料:一般1,000円、大学・高校生700円、中学生以下無料

この展覧会には、一般観覧料金1,000円のところぐるっとパスだけで入場できます。

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