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【展覧会レビュー】「モードとインテリアの20世紀展 ポワレからシャネル、サンローランまで」パナソニック 汐留ミュージアム

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パナソニック 汐留ミュージアムにて、11月23日(水・祝)まで開催中の「モードとインテリアの20世紀展 ポワレからシャネル、サンローランまで」をご紹介します。
パナソニック 汐留ミュージアムには、ぐるっとパスで入場できます。
※この展覧会は、すでに終了しています。

この展覧会では、ベルエポック、ジャズエイジ、世界恐慌と大戦を経てミッドセンチュリーを過ぎるまでの20世紀ファッションの流れを、同時代の主要なインテリアと共に概観します。

さらなる見どころは、ファッションの領域で質の高いコレクションを持つ島根県立石見美術館より出品される130点(うち衣装36点)の作品により、1900年代から1960年代までのパリのオートクチュールを中心としたモードの歴史を辿れることです。

展覧会の構成は以下の通り
第1章 1900-1919年
第2章 1920-1939年
第3章 1940-1959年
第4章 1960年代

第1章 1900-1919年

左:マリアノ・フォルチュニイ《コート》
右:ポール・ポワレ《イブニング・ドレス》

20世紀初頭のモードのスタイルを写真で紹介し、続く時代のポワレやフォルチュニイによるゆったりと布をまとうような衣装などが展示されています。

「ポール・ポワレとマリアノ・フォルチュニイ」
共に1870年代に生まれ、同時代にヨーロッパで活躍したデザイナー。

ポール・ポワレはファッションの近代化の創設者であり、モードの帝王ともよばれました。デザインはディレクトワール・スタイルとオリエンタリズム(東洋趣味)への接近を特徴としています。
ディレクトワール・スタイルとは、18世紀末、総領政府時代に流行した古代ギリシアの影響の色濃い様式。

マリアノ・フォルチュニイはベネチアを拠点に、ファッションデザイナーとしても活躍したアーティスト。
細かいプリーツ加工を施した絹サテンをつなぎ合わせた簡素な構造でありながら、生地そのものの美しさとそれを着る女性の身体の自然なラインを生かしたドレス「デスフォス」。それまでの女性服とは一線を画す革新的なデザインの衣服を提案しました。

 

左:ポール・ポワレ《ガーデンパーティー・ドレス》
右:マリアノ・フォルチュニイ《プリーツドレス「デスフォス」》

この他、当時のファッション誌や装身具も展示されています。


色鮮やかなビーズのバッグはウィーン工房のマリア・リカルツの作品。


『ポール・イリーブが語るポール・ポワレのドレス』と『ジョルジュ・ルパップの見たポール・ポワレの作品』の2点のファッション・アルバムを展示しています。
本の展示は通常、開かれたページしか閲覧できませんが、デジタルブックを活用してページを擬似的にめくりながら、収録の全図版を鑑賞できるようになっています。

第2章 1920-1939年

スザンヌ・タルボット《イブニング・コート》

第一次世界大戦後、国際秩序は回復し、社会には平和と活気が戻りました。
1920年代に入ると、女性の身体は少年のような痩せ型が美しいと好まれました。狂騒の時代とよばれるこの時期、スパンコールや金糸を使った装飾的なドレスに、毛皮やベルベットなど華やかな素材のコートを羽織るスタイルが流行します。



1930年代は細身のロングドレスと、布地を多く使ったギャザーやドレープのロマンティックなドレスが人気となりました。
会場には、ガブリエル・シャネルやジャンヌ・ランヴァン、マドレーヌ・ヴィオネの衣装が、アール・デコを演出した空間にきらびやかに並んでいます。

第3章 1940-1959年

中央:クリスチャン・ディオール《ディナー・ドレス「カラカス」》

第二次大戦中、パリのオートクチュール・メゾンは休業や閉鎖を余儀なくされたものの、戦後1946年にはコレクションの発表が復活。オートクチュールはアメリカを市場として拡大し、50年代には活況を取り戻します。

1947年のデビュー以降、一貫して贅沢な素材使いと優雅なシルエットのドレスによって、時代のモードをリードしたのがクリスチャン・ディオールです。
会場では、クリスチャン・ディオール、クリストバル・バレンシアガそしてチャールズ・ジェームズらの衣装と共に、ミッドセンチュリー・モダンのインテリアをご紹介しています。

ウィリアム・クラインの写真

『ヴォーグ』アメリカ版 1953年3月1日号

当時のモードを読み解くものとして、ファッション誌やモード系の写真なども展示されています。

第4章 1960年代

60年代に発表されたクレージュのドレスや装身具

1960年頃ロンドンの街中で登場したミニ・スカートは、1964年にクレージュによってオートクチュールに取り入れられます。この事は、大衆文化がハイ・ファッションの領域でも無視できない力を持ち若者のエネルギーが流行の潮流を左右する時代に入ったことの象徴でした。

左:ペーパードレスの《スーパードレス》作者不詳 / 右:パコ・ラバンヌ《イブニング・ドレス》(アルミニウム製)

一方で同時期、ファッションにおいて既成概念を覆す試みが次々に実施され、ビニール、金属、紙などユニークな素材のドレスが登場します。

森英恵《菊のパジャマ・ドレス》

代表作の一つであるホステス・ガウン。
鮮やかなピンク地に、菊や萩など日本の絵画などに見られる秋草の柄があしらわれた優美な一着。
当時は、イブニング・ドレスと同様に自宅に客を招いた際に女主人が着用する、華やかなホステス・ガウンの需要がありました。

森英恵は国内での活躍の後、1965年、アメリカに活動範囲を広げ、1977年、パリ、オートクチュール組合に加盟、東洋人初のクチュリエールとなりました。
その後の輝かしい活躍はみなさんもご存知の通りです。


同時代のモード写真、ファッション誌の展示から当時のモードの雰囲気を見て、感じとることができます。

今回は、貴重なオートクチュールのドレスをめでながら、素直に楽しめる展示です。さらに、時代の流れとともに移り変わるモードにその時代時代の女性のライフスタイルを垣間見ることができます。
素敵なドレスたちとの心躍る出会いに、期待して訪れてみてください。

※このブログ記事は、2016年10月に掲載されたものです。

会場:パナソニック 汐留ミュージアム
http://panasonic.co.jp/es/museum/

島根県立石見美術館コレクション「モードとインテリアの20世紀展 ポワレからシャネル、サンローランまで」
会期:2016年9月17日(土)~11月23日(水・祝)
※この展覧会は、すでに終了しています。
休館日:水曜日 ※ただし、11月23日(水・祝)は開館。
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
観覧料:入館料一般1,000円 (65歳以上900円、大学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料)

パナソニック 汐留ミュージアムには、ぐるっとパスで入場できます。

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