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【展覧会レビュー】「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」練馬区立美術館

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西武池袋線「中村橋」駅から徒歩3分のところにある練馬区立美術館では、9月4日(日)まで「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」が開催されています。
※この展覧会は、すでに終了しています。

しりあがり寿(しりあがり・ことぶき)氏(内覧会会場にて)

(展覧会チラシより)
しりあがり寿(1958~)は、「弥次喜多 in DEEP」や朝日新聞に連載中の「地球防衛家のヒトビト」をはじめ、数多くの独特の批評精神に満ちたギャグ漫画で知られています。その仕事は文藝春秋漫画賞や手塚治虫文化賞・優秀賞を受賞するなど高い評価を得ており、最近では東日本大震災後の日本をテーマにした漫画集「あの日からのマンガ」が大きな話題となりました。また日本大学芸術学部や、神戸芸術工科大学では長年に渡り学生の指導にあたっています。
自身初の美術館での個展となる本展では、これまでの多様な仕事に触れつつ、回転インスタレーションを中心に新作を展開します。
絵画作品やジオラマ、日用品から映像まで、あらゆるものが展示室内で回転します。
回転とは? 芸術とは? 「漫画家しりあがり寿」とは一味違う、新しい「しりあがり寿ワールド」を体感する展覧会です。


1階の展示室入口
会場構成としては、1階にはマンガの原画やイラストレーションなどの作品、2階には回転インスタレーションを主とした作品が展示されています。

1階入口を入ると、しりあがり寿のルーツをたどるように、マンガの代表作原画の展示が続きます。


「パロディ」作品から始まり、「サラリーマン・OL」もの、「ホラー」作品、「弥次喜多」シリーズ、「終末論」を描いたもの、朝日新聞夕刊に連載中の「地球防衛家のヒトビト」などの原画が次々と並んでいます。

野次喜多 in DEEP「第19話 晩餐会(一)」 『月刊コミックビーム』1999年6月号


「地球防衛家のヒトビト」の展示場所では多くの人々が真剣にマンガを読んでいました。


1階の最後に展示してある墨絵は、1994年から1点ずつ独立した作品として発表しはじめ、2004年には空間全体を使ったインスタレーションにまで広がったものです。
漫画では実現できないことを追及したシリーズ作品です。

2階に上って最初の展示は「ゆるめ~しょん」という映像インスタレーション作品です。


「ゆるめ~しょん」はしりあがり寿の描くキャラクターと、実際の映像をトレースするロトスコープと呼ばれるアニメ技法を組み合わせた、一連のアニメーション作品です。


いよいよ回転インスタレーション作品のお目見えです。
高らかに「回転宣言」が掲げられています。

「回るヤカン」2016年

「ヤカンが静かに回り出す、ゆっくりゆっくりくるりくるり・・・」
(「回転宣言」より)
回ればすべてが芸術になるという主張をヤカンで表現した、今回の展示の象徴的作品です。

「回転派のアトリエ」「回転派の静物画」

この写真では画像の中のものが回転しているのか静止しているのか区別がつきません。
ぜひみなさんも、美術館に訪れて、この回転を実際に目撃してください。

「縄文人の暮らし」2016年

次の部屋は「まわる歴史」がテーマになっています。

「前方後円墳」2016年

古墳も回ります。

ふと気づくと監視員さんの椅子まで回っています。

「回転体は行進するダルマの夢を視る」2014年

 

12体のダルマが歌いながら回転しています。
本来動いてはならぬもの、ダルマが回転して歌を歌っています。

日常目にする小さなモノたちが回転しています。
トイレットペーパー、レシート、葉書、下着などなど・・・。

「回る白昼夢」2016年

ここでは紹介していませんが、次の部屋では映像も回っていました。

そして、最後に、、、


上の画像はフラッシュをたいて撮影したので明るいですが、最後に真っ暗な小部屋の中で回るなぞの黒い回転体がありました。
解説を読んで知りました。
これがこの展覧会のピリオドであることを。

展覧会を体験しての感想は、なんだかいろんなモノが回転していたゾという素直な気持ちなのですが、見てはいけないモノを見てしまったような不思議な気持ちがあとからふつふつとわいてきました。

この夏の美術展のなかでも、ブラックホールのように惹きつけられてしまうこの展覧会をぜひ体感してみてください。

会場では、今回の展覧会の図録や、回転帖(ノート)、ポストカード、缶バッヂなどが販売されています。こちらも要チェックです。

中でも、「パラパラするとぐるぐるするメモ帖」は気になりますね。
回・転・展を訪れた記念に良いかもしれません。


練馬区立美術館の前には練馬区立美術の森緑地という公園があります。

「幻想美術動物園」というタイトルがついているとおり、不思議な動物たちがいます。

美術館のロゴマークから生まれたネリビーもお出迎えしてくれています。

カラフルなキリン以外にもたくさんの幻想的な動物たちが生息していますので、そちらも楽しみにお出掛けください。

※このブログ記事は、2016年7月に掲載されたものです。

会場:練馬区立美術館
http://www.neribun.or.jp/museum.html

「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」
会期:2016年7月3日(日)~9月4日(日)
※この展覧会は、すでに終了しています。
休館日:月曜日 ※ただし、7月18日(月・祝)は開館。翌19日(火)は休館
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
観覧料:入館料800円 (高・大学生および65~74歳600円、中学生以下および75歳以上無料、その他各種割引制度あり)

練馬区立美術館には、ぐるっとパスを割引券としてご利用いただけます。
※大人料金より500円割引

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