吉祥寺駅から徒歩約3分の武蔵野市立吉祥寺美術館では4月9日(土)~5月29日(日)まで「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」が開催されました。
※この展覧会は、すでに終了しています。
武蔵野市立吉祥寺美術館にはぐるっとパスで入場できます。
みなさん萩尾望都(はぎおもと)という漫画家をご存知ですか?
若い年代の方はご存じないかもしれません。70年代80年代に一時代を築き、すばらしい作品をたくさん生み出しました。しかも現在も作品*を発表しています。
*「月刊YOU」(集英社)にて『王妃マルゴ』を連載中。
今回の展覧会では萩尾望都の膨大な作品群からSFというテーマに焦点をあてて紹介されました。
展覧会のチラシでは次のように紹介しています。
1969年に『ルルとミミ』でデビュー以降、『ポーの一族』や『トーマの心臓』など不朽の名作を生み、幅広いジャンルを手掛けてきた萩尾望都。
竹宮惠子や大島弓子など同時期に人気を集めた漫画家らとともに「花の24年組」と呼ばれ、1970年代の少女漫画黄金期を築きました。
そうした中で1975年に発表された『11人いる!』は、従来の少女漫画では例をみない本格的SF作品として、その華麗なる登場が当時の漫画界に衝撃を与えます。以降、『百億の昼と千億の夜』(原作:光瀬龍)、『スター・レッド』、『銀の三角』、『マージナル』、『バルバラ異界』などの名作を世に送り出し、今も多くのファンを魅了してやみません。
武蔵野市立吉祥寺美術館は吉祥寺の商業ビル「コピス」の7階にあります。
この美術館には常設展示室もあります。(後出)
萩尾望都展は、企画展示室へと向かいます。
会場は
CHAPTERⅠ Early Works 1970s SF初期
CHAPTERⅡ Collaboration 1970s・1980s コラボレーション
CHAPTERⅢ Middle Works 1980s・1990s SF中期
CHAPTERⅣ Recent Works 2000s SF近作
の4部構成になっています。
「CHAPTERⅠ Early Works 1970s SF初期」
『11人いる!』や『スター・レッド』などの作品を生み出した70年代のSF作品を紹介。
『11人いる!』
萩尾望都初の長編SF作品。まさにSF漫画の金字塔ともいえる名作。その後のSF漫画作品にも多大な影響を与えました。
『スター・レッド』
1980年星雲賞コミック部門受賞。
他のSF作品に比べると火星に恋する少女が主人公という親しみやすいストーリーとなっています。
『スター・レッド』はカラーの漫画原稿が展示され、見ることができます。
ペンのタッチや背景の描き込み、色使いの鮮やかさなどなど、原稿を間近に見られる愉しみはつきません。
「CHAPTERⅡ Collaboration 1970s・1980s コラボレーション」
ここでは、オリジナル以外で、小説の漫画化や、挿し絵やカバーイラストの提供をした作品などを紹介。
『百億の昼と千億の夜』
光瀬龍原作の人気SF小説の漫画化にも挑戦。「週刊少年チャンピオン」に1977年~78年にかけて連載されました。
少年漫画誌への初の連載ということでペンのタッチが力強くアレンジされていることも注目ポイントです。
ハヤカワ文庫(作家:ジャック・ヴァンス)の表紙画にも使われました。原画と実際に本になったものを見比べることができます。
木下司作小説『ピアリス』挿絵の原画とともに、『ピアリス』掲載誌が展示されています。
「CHAPTERⅢ Middle Works 1980s・1990s SF中期」
本格的なSF作品が多数生み出された萩尾望都のSF円熟期とも言える時期の作品を紹介。
『銀の三角』
「SFマガジン」に連載された本格SF長編。
絵柄として線の細さが印象的で、絵の美しさが深化していくのがわかります。1983年星雲賞コミック部門受賞。
『X+Y』
1985年星雲賞コミック部門受賞。
『マージナル』
砂漠が舞台のSF作品の頂点とも言えます。絵の美しさが際立っています。
「CHAPTERⅣ Recent Works 2000s SF近作」
2000年以降のSF近作を紹介しています。
なかでも『バルバラ異界』は近未来の日本を舞台に不老不死とパラレルワールドをリンクさせたSF大作。2006年第27回日本SF大賞受賞。
常設展示として浜口陽三記念室と荻原英雄記念室があります、そこでもテーマ展示で収蔵品を紹介しています。こちらも見ることできます。
※このブログ記事は、2016年6月に掲載されたものです。
会場:武蔵野市立吉祥寺美術館
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/
「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」
会期:2016年4月9日(土)~5月29日(日)
※この展覧会は、すでに終了しています。
開館時間:10:00~19:30
観覧料:入館料100円(小学生以下、65歳以上、障がい者は無料)
武蔵野市立吉祥寺美術館には、ぐるっとパスで入場できます。