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【展覧会レビュー】「ニキ・ド・サンファル展」国立新美術館

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国立新美術館では、12月14日(月)まで、ニキ・ド・サンファル展が開催されています。
※この展覧会は、すでに終了しています。

ニキ・ド・サンファル(1930~2002年)は戦後を代表する美術家のひとりです。
今回は、彼女の初期から晩年まで国内外の主要作品を集め、出品数が150点を超える国内最大規模の回顧展となります。

会場構成は以下の通り。
chapter 1 アンファン・テリブル―反抗するアーティスト
chapter 2 女たちという問題 
chapter 3 あるカップル 
chapter 4 ニキとヨーコ―日本との出会い 
chapter 5 精神世界へ 
chapter 6 タロット・ガーデン

「chapter 2 女たちという問題」の展示風景

ニキといえば、写真のような女性をかたどったカラフルな彩りの「ナナ」シリーズの彫刻が有名です。
目にされたことがある方も多いかもしれません。
私の中のニキのイメージといえば、まさにこの「ナナ」でした。

しかし、今回の回顧展でニキの初期から晩年までの仕事をまとめて観ることができ、その多彩さを再発見し、改めてその魅力に夢中になりました。

ニキは、1961年に発表した「射撃絵画」で一躍その名が知られることになります。

「chapter 1 アンファン・テリブル―反抗するアーティスト」の展示風景

絵具を入れた缶や袋を石膏で画面に付着させた、そこに向けて銃を放つことで完成するのが「射撃絵画」。
絵画と彫刻の両方の要素を兼ね備え、また制作行為そのものがパフォーマンス・アートの先駆例として美術史上高く評価されました。

「chapter 1 アンファン・テリブル―反抗するアーティスト」の展示風景

「chapter1 アンファン・テリブル―反抗するアーティスト」の展示風景

ニキは、少女時代を過ごしたアメリカや母国フランスの抽象絵画に影響を受けながら、アーテストとして独自のスタイルを作り上げて行きます。
「射撃絵画」を発表する以前は、ジャクソン・ポロック風の絵画などを制作しました。

「chapter 2 女たちという問題」の展示風景

次第に自らが「女」であるということへの問いを制作の中心に据え、魔女、娼婦、聖母、花嫁、母親といった様々な女性の姿を主題とした作品を作るようになります。

「chapter 2 女たちという問題」の展示風景

「chapter 2 女たちという問題」の展示風景

友人が妊娠した姿から想を得た女性像の作品は「ナナ」シリーズへと発展しました。
鮮やかな色彩と伸びやかな形態を用いた「ナナ」は、ニキにとって自由を象徴する女性像でした。

 

《頭にテレビをのせたカップル》 1978年 Yoko増田静江コレクション

《頭にテレビをのせたカップル》 1978年 Yoko増田静江コレクション

男女が背中合わせに組み合わさったこの作品は、2人の人間の間で交わされるコミュニケーションの多様な側面とそこで生じる心理的葛藤を、ユーモアを交えて表現しています。

ニキと親交の深かった日本人のコレクター増田静江は、1994年に栃木県那須高原に建てられたニキ美術館(2011年閉館)の創立者です。
2人はニキとヨーコ(「静江」がフランス語では呼びづらいため自らをヨーコと名付けた)として、美術家とコレクターの関係を超え、20年以上にわたって特別なつながりを作り上げていきました。

会場にはニキがヨーコに送った絵手紙もたくさん展示されています。1枚1枚じっくり見ていきたくなるほど楽しく、2人の心の通い合いが感じ取れるものです。

ニキが初めて日本を訪れた際、ヨーコと共に京都に足を運びました。この時の経験はニキに新たな作品のインスピレーションを与え、晩年の大作《ブッダ》(1999年)に結実します。

《ブッダ》 1999年 Yoko増田静江コレクション

高さ3メートルを超える巨大なブッダ像。
この作品は会場で写真撮影が可能となっています。

ニキの最も重要な作品はイタリアのトスカーナに建設された《タロット・ガーデン》という彫刻公園です。
1979年の着工から20年の歳月を費やして1998年に一般公開され、その後もニキは亡くなるまで、この夢の公園に情熱を傾け続けました。

「chapter 6 タロット・ガーデン」の展示風景

「chapter 6 タロット・ガーデン」の展示風景

タロット・ガーデンのためのドローイング。
22枚のタロット・カードのモティーフそれぞれに独自の解釈を与え、幻想的な世界を作り上げました。

「chapter 6 タロット・ガーデン」の展示風景

《翼を広げたフクロウの椅子》 1999年 Yoko増田静江コレクション

最後に展示されているこちらの椅子も撮影可能の作品です。

※このブログ記事は、2015年10月に掲載されたものです。

会場:国立新美術館
http://www.nact.jp/

「ニキ・ド・サンファル展」
※この展覧会は、すでに終了しています。
会期:2015年9月18日(金)~12月14日(月)
開館時間:10:00~18:00 金曜日は20:00まで
(入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜日(ただし11月3日は開館、11月4日は休館)
入場料:一般1600円、大学生1200円、高校生800円、中学生以下無料

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