今回は千駄木の文京区立森鴎外記念館をご紹介します。
千駄木駅から徒歩5分。団子坂を上ったところにあります。
7月12日(日)まで、特別展「谷根千“寄り道”文学散歩」が開催中です。
※この展覧会は、すでに終了しています。
文京区立森鴎外記念館には一般料金500円がぐるっとパスだけで入場できます。
文豪の記念館というやや固いイメージに反し、とてもモダンな建物に少々驚かされます。
この建物、賞を受賞するなど、建築としても高い評価を得ています。
それではこの記念館の中をご案内しましょう。
入口からもわかるとおり、中はとても天井が高い造りになっています。
重厚な扉が開くと、鴎外の横顔のレリーフが出迎えてくれます。
展示室は地下にあります。階段を降りると、、、
鴎外の胸像があります。右へ進むと展示室があります。
入口から壁に沿ってL字型のコーナーは常設で、鴎外の生涯を辿る展示となっています。
小説からの文章が抜粋されて掲示されており、語りかけてくるように壁面にあります。展示されているゆかりの品々、直筆の原稿や手紙、短いですが偶然撮影された鴎外の歩く姿の動画などを見進めていくだけで、鴎外の人となりに深く触れることができます。
さて、少し仕切られた空間に入ると特別展の展示です。
タイトルにある「谷根千」とは、東京の文京区と台東区一帯の谷中・根津・千駄木エリアの総称です。
今回の展示は、谷中は天王寺、根津は根津神社、千駄木は観潮楼(鴎外旧居)にフォーカスしながら、ゆかりの文学作品や文人たちを紹介するものです。
構成も、谷中、根津、千駄木のそれぞれのエリアごとになっています。
まず最初の一角は「谷中」。鴎外と交流が深かった幸田露伴の『五重塔』にちなみ、天王寺の五重塔の写真画像(昭和32年焼失)や焼け残った柱の一部なども展示されています。

幸田露伴愛用品「徳利とグラス」 個人蔵
露伴の愛用品であった、酒器や煙草入れなどにも目が留まります。
次は「根津」。
この記念館からも徒歩圏内の根津神社が紹介されています。
谷根千には近代文学にちなんだ場所が多いので、訪れる方には文学散策をおすすめします。
お時間の限られている方は根津神社だけでも訪れてみると良いと思います。
最後は鴎外と「千駄木」。
ここでは、文京区ゆかりの夏目漱石の『道草』の直筆原稿が展示されており、漱石オリジナルの原稿用紙に書かれたその筆跡を間近にみることができます。
また、鴎外と漱石の接点としての書簡なども展示されています。
この記念館が建っているのは鴎外が明治25年から亡くなるまで、家族とともに30年間暮らした観潮楼跡地なのですが、その復元模型も展示されています。
文豪の娘という境遇ながら、対照的な存在であった森茉莉と幸田文。直筆原稿や愛蔵品をまとめて展示してあるコーナーなどは個人的に興味深く見入ってしまいました。

幸田文筆記道具箱 個人蔵
展覧会タイトルにあるようにこうしたテーマをちょっと外した寄り道的な展示も見どころのひとつです。
展示室の出口の、映像コーナーでは今回の展示をより深く楽しめる関連動画が放映されており、着席して見ることができます。
記念館の2階には図書室があり、鴎外の著書や研究資料を閲覧できます。
1階には「モリキネカフェ」があり、コーヒーや紅茶などの飲み物とお菓子をいただき、お庭を眺めながら休憩することができます。
営業時間11:00~17:00(ラストオーダー16:30)2015年6月現在
訪れた時には、漱石にちなんだ猫のクッキーと観潮楼の銀杏(後出)にちなんだいちょうサブレが販売されていました。
メニューはその時々に変わるそうです。
同じく1階入口入って右側にミュージアムショップがあり、オリジナルグッズや関連書籍などが販売されています。
最後に、決して見逃さずに帰りたい場所があります。
藪下通り側の出口にはお庭があり、観潮楼の当時の面影を残す銀杏の木が立っています。
銀杏の根元には「三人冗語の石」と呼ばれて親しまれている石があります。

写真 三人冗語同人
(合評「三人冗語」は辛辣な批評が話題となった。)
明治30年4月、観潮楼庭にて撮影された。
左から鴎外、幸田露伴、齋藤緑雨。鴎外が座っている石が「三人冗語の石」と呼ばれているものです。
門を出た所にも、鴎外が立って撮影した場所の敷石が、、、
今も当時のまま残っています。
自分もここに立ってみると感慨深いです。
観潮楼とはかつて2階から海が見えたことがその名の由来だそうです。
藪下通り側の門からは、現在隙間ツリー(東京スカイツリーがビルの合間に見える光景)がのぞめます。
※このブログ記事は、2015年6月に掲載されたものです。
文京区立森鴎外記念館
http://moriogai-kinenkan.jp/
開館時間:10:00~18:00(最終入館は17:30)
休館日:毎月第4火曜日(祝日の場合は開館、その他例外あり)
年末年始(12月29日~1月3日)、及び展示替期間他
特別展「谷根千“寄り道”文学散歩」
会期:2015年4月24日(金)~7月12日(日)
※この展覧会は、すでに終了しています。
※6月、7月の金曜日は20時まで開館(最終入館は19:30)
観覧料:一般500円、中学生以下無料
※観覧料は展覧会によって変わります。
ぐるっとパスだけで入場できます。